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2021.01.29

三井不動産が考える、街づくりに大切なこと。それはみんなの気持ちに火を点けること

新型コロナウイルスの影響で苦境にあえぐ日本橋を救うべく、「日本橋 お弁当で応援プロジェクト(*)」を驚異的なスピードで立ち上げた三井不動産の坂本 彩さん。前回はそのプロジェクトの背景から成功に至るまでのお話を伺いましたが、今回は「街」という地域コミュニティの一角を担う、不動産デベロッパーとしての今後についてお聞きしました。PIAZZA代表の矢野 晃平によるインタビュー続編です。

*飲食店と福祉現場をつなぐ|日本橋 お弁当で応援プロジェクト

※新型コロナウイルスの感染拡大リスクに十分配慮のうえ取材を行いました。

三井不動産株式会社

日本を代表する総合デベロッパー。「ららぽーと」や「東京ミッドタウン」、「日本橋再生計画」、「柏の葉スマートシティプロジェクト」など、幅広い領域において街づくりを手掛ける。

アナログな「人のつながり」が価値を持つ時代

  • 矢野

    コロナ以降、大きなゲームチェンジがさまざまな業界で起きてきていると感じているのですが、不動産デベロッパーとして今後さらに求められていくものですとか、こうしていきたいといったことはありますでしょうか?
  • 坂本

    あぁ、それはなかなか難しい質問ですね(笑)。私個人が全般として言えることではないのかもしれませんけれど、そうですね……じゃあ、ちょっと「街」という舞台の話だけでもさせていただくと。

    たとえば飲食店のお話なんですけど、今回のコロナの影響でお店のお客様とのつながりの力が明らかになったんじゃないかと思っていて。もともと人としっかりつながっていたお店は、こんな状況になっても「助けなきゃ」って思ってくれるお客さまや、なんとかして続けて欲しいと願うお客さまがたくさんいる。なんとかこの危機を乗り越える力を、お客さまからいただいていたんじゃないかなと思うんですね。

    日本橋の店舗って顧客としっかりつながっていて、そういった方からの応援や支え合いで事業を続けていらっしゃるところが多いんです。一方で、人とあまりつながれていなかった店舗にとってはやっぱりしんどかったんだろうなと。そう思ったときに、そのちょっとアナログな「人のつながり」みたいな部分が、このコロナでより価値を持ってくるんじゃないかって感じるんですね。最近はデジタルの力が増してきていて、オンラインとオフラインを分けて考えることすらもすでにあまり意味がないと思うんですけど、リアルでつながっていることの価値っていうのが、この時代の中で改めてより鮮明になってきたんじゃないかという気がしたんですよね。
三井不動産 坂本さん(右)にお話を伺うPIAZZA代表の矢野(左)
三井不動産 坂本さん(右)にお話を伺うPIAZZA代表の矢野(左)
  • 坂本

    私は「街づくり」っていう言葉自体が、あんまり好きじゃないんですけど――街を継続的・持続的に元気な状態にする、活性化させていくということを考える上では、街の中に「人のつながり」をたくさん生み出すことが大切だと思っています。街と人、人と人、そのつながりがあることが街を支える主体を生み出すことにつながると思うんです。
  • 矢野

    なるほど、わかります。

お世話になったお店の力になりたいというマインド

  • 坂本

    私、大学時代に、大学のそばのある飲食店でアルバイトしていたんです。当時所属していたラクロス部のOB/OGがたくさんバイトさせていただいていたお店なんですけど。親方と女将さんがいて、バイトに入ってないときでも「ごはん食べにおいで」なんて言ってくれてみんなで夜ごはんを食べる、みたいなお店だったんです。もうほんとに家族のような。

    でも今回のコロナ騒動で大学も閉まってしまったこともあってお客さんがとても減ってしまって。「お店大丈夫かな」「お店を残すためにできることないかな」って何人かのOBOGと連絡を取り合って、大急ぎで手作りのクラウドファンディングを立ち上げたんです。それでお店でバイトしていたOBOGを中心に声をかけたら、一晩で100万円超の額が集まっちゃって(笑)。学生の頃に本当にすごくお世話になったから「恩返しするならいましかない!」っていうマインドをみんなが持ってたんですよね。むしろ「こんなのじゃ恩返しきれてない」ってみんな思ってるくらいで。
  • 矢野

    すごい、人情の世界ですね。
  • 坂本

    そうなんです。瞬間的にお金が集まっちゃって、逆にこれ受け取ってもらえないんじゃないかって心配してしまうくらいだったんですけど(笑)。なんかそういう「人の思い出に残っている」とか、「ご縁があったり」っていうこと自体がものすごい起爆力につながることをその件で痛感しまして。そんなことが今回のお弁当プロジェクトの前にあったので「あぁ、こういうことなんだな」って改めて思ったわけです。
  • 矢野

    街づくりって「建物をどうする」とかそういうハード面も当然大切なんですけど、坂本さんと話をしていると一貫して人との付き合いやつながりといった、目に見えにくい部分をいかに可視化して大きな力に変えていくか……そういうところにフォーカスされているところがすごく印象的だなあと感じます。

    まぁ、たしかにそこまでくると「街づくり」っていう言葉はもしかしたら適切じゃなくて、もっと大きな概念かもしれないし、もっといろんな人に関わってくるものなのかもしれないですね。

街づくりに重要なのは、人の気持ちに火を点けること

  • 矢野

    今後、坂本さんが街づくりにおいてもっとこういう挑戦をしていきたいといったことはありますか?
  • 坂本

    いま改めて、街づくりに関する事例をおさらいをしているんです。地方や海外の事例などいろいろ見直しているんですけど、成功事例を見れば見るほど「人をどうモチベートしていくか」っていうことに帰着しているなと思うんですね――モチベートっていう言葉もちょっと上から目線なので適していないかもしれませんけど…。ハードソフトさまざまな取り組みが、街に関わる人たちの「街を良くしていくぞ」というマインドに火を点けている事例はとても良い循環を生んでいることが多いんです。瞬間風速的に集客をすることや話題性を喚起することも意味がないわけではないですが、人の気持ちを上向きにするところまでのコミュニケーション設計がされていないものは継続性という部分では成果を上げないんだろうなと思います。短期的に成果をあげる取り組みの方が評価はしやすいんでしょうけどね。街づくりにおいてはもっと長期的な目線で見て取り組み評価をすべきだと思います。

    要は「街」ってつくったら終わりじゃなくて。その後もずうっと続いていくものなので――そこで生業をされたいとか、街を活かしていきたいとか――そういうのって結局は「人の力」なんですよね。だから人に火を点けることこそが、継続的に街を元気にしていくうえでは重要なんだなって思うんですよね。

    いまの会社(三井不動産)にいると、再開発の話とか、どうしても大きいところから仕事が入ってくるんですよ。そんな中でも一人ひとりの気持ちに火を点けていくような仕事のやり方ができるとすごくいいなって思ってます。私はもう日本橋に5年くらい携わっているんですけど、人の気持ちが変わった!と思う瞬間に何度も立ち会ってきているんですよね。そういうのを目の当たりにすると、この仕事はここで終わるんじゃなくて、もしかしたらいま火が点いたその人がさらに5年後・10年後にもっとすごいことをしてくれるかもしれないとか、その先の何かにまで自分が貢献できるのかもしれないと思えること自体にすごいやりがいを感じています。

    これからも誰かと一緒に何か――街づくりをしていくとか――人がベースの仕事をやっていきたいです。街に関わりたいと思ってくれるような人をどうやって増やしていくか、巻き込んでいくか、みたいなことですかね。そういう部分に力を置いていきたいなって思っています。
  • 矢野

    坂本さんのこれからのご活躍がとても楽しみです。坂本さんのコミュニティファーストな考え方、ぜひ今後ともいろいろ教えてください。本日はありがとうございました!

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前編:三井不動産が取り組んだ、みんなの思いをつなぐ「日本橋・お弁当プロジェクト」とは
後編:三井不動産が考える、街づくりに大切なこと。それはみんなの気持ちに火を点けること

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