「夢と生きる活力に満ちた社会を創る」というビジョンを掲げ、神奈川県横浜市をホームタウンとして2019年に発足したプロアイスホッケーチーム「横浜GRITS」。全ての選手が「デュアルキャリア」で活動するこのチームを通して実現したいことは何なのでしょうか? 代表の臼井 亮人さんにお話を伺いました。
※オンラインにて取材を行いました。
横浜GRITS
神奈川県横浜市をホームタウンにするプロアイスホッケーチーム。2020シーズンから「アジアリーグアイスホッケー」へ正式加盟した。チーム名の「GRITS」は「やり抜く力」を意味し、チームに関わる全ての人に夢と生きる活力を提供することを目標に、活動を行っている。
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このままでは日本のアイスホッケーがどんどん廃れていってしまう
私は北海道出身で、本格的にアイスホッケーを始めたのは小学校2年生くらいです。向こうでは体育でスケートやアイスホッケーの授業があるくらい、スケートというものが普通に生活の中にあるような環境でしたから、小さいうちにアイスホッケーを始めることも珍しいことではありませんでした。その後は大学まで本格的にアイスホッケーをプレイして、社会人になってからも趣味で続けていました。
4年くらい前のことになりますが、たまたま日本アイスホッケー連盟の関係者の方と食事をする機会があり、その時に日本のアイスホッケーの現実についていろいろお話を聞いたんです。2018年の平昌や2022年の北京など、冬季オリンピックの開催地ということでアジアにおいても韓国や中国がアイスホッケーの強化にかなり力を入れている中で、このままいくと日本のアイスホッケーはどんどん置いていかれ、廃れていってしまう。そんな危機的状況であるという話を伺いました。
ずっとアイスホッケーが好きでやってきましたから、この状況をなんとかできないかと。自分がチームを作って盛り上げることができたら面白いんじゃないかと思ったんですね。それでいろんな人の話を聞いて回るうちに、アイスホッケー界の課題というのが見えてきたんです。
大学まで真剣にアイスホッケーを頑張った人のうち、その後にアジアリーグというトップリーグに行ってプレイする優秀な選手というのがほとんどいないんですね。本当はアイスホッケーを続けたいと思っていても、将来のことを考えたら普通に就職したほうがいいでしょ、という選択にならざるを得ない。
そこでデュアルキャリア――つまりアイスホッケーも仕事もしっかりできるというコンセプトを打ち出していけるチームを作れば、アイスホッケーはもちろん、他のマイナースポーツにもいい影響が広がるんじゃないかと考え、この横浜GRITSを立ち上げました。
両方の仕事でしっかり結果を出していくことが、デュアルキャリア浸透には必要
今でこそ副業が当たり前になりつつある環境ですが、デュアルキャリアといってもまだまだ日本の企業には浸透していないというところがあります。
デュアルキャリアを浸透させるには、選手が所属する企業でしっかりと成果を出して認められることがとても重要です。アイスホッケーをやるためだけじゃなくて、まず仕事をちゃんとした上でのデュアルキャリアだと、選手にはいつも言っています。両方でしっかりと結果を出していくことが、一番シンプルな近道なんじゃないのかなと思っています。
私たちは「夢と生きる活力に満ちた社会を創る」というビジョンを掲げていますが、そのビジョンを達成するために3つの柱を定義しています。
横浜GRITSのビジョン
夢と生きる活力に満ちた社会を創る
ビジョン達成のための3つの柱
01 選手たちのデュアルキャリアの浸透をはかります
02 冬の横浜を、もっと元気にします
03 アイスホッケーの普及に尽力します
まず1つ目は、デュアルキャリアというものを世の中に浸透させましょうと。そうすることで自分の好きなことを続けても、将来困らずにちゃんとした社会人としてやっていけるようになれる。そういうところをアイスホッケーに限らず、他のスポーツにも浸透させていきたいと思っています。
アイスホッケーを通して地域の幅広い層の方々を元気にしていきたい
2つ目は地域貢献ですね、冬の横浜を元気にしていきましょうということです。横浜ってすごくスポーツが盛んな街なんですが、スポーツに興味のある人や世代だけでなく、アイスホッケーを通してこの横浜の幅広い層の方々を元気にしていきたい。そういう意味での地域貢献です。
最後の3つ目はアイスホッケーの普及、人材育成、そして発展といったところを担っていきたいと考えています。
アイスホッケーの活動は冬がメインになるのですが、オフシーズンにおける地域の皆さまとの関わり方というのは、まさにこれから考えていかないといけない部分です。こういったコロナ禍の時期なのでどこまで実現できるかわかりませんが、ファンの皆さまと交流できるオフ会のようなイベントなどを行いたいと思っています。
実はピアッザのことは、新聞で取り上げられているのを見ていて、チーム内では何度か話題になっていたんです。地元の港北区さんとやり取りさせていただく中でご紹介いただいたのが導入のきっかけではあるんですが、実は結構前から知っていたんですよ。
リアルで接点を作っていくのが難しい時期なので、コミュニケーションツールとしてピアッザをうまく活用しながら、地元の皆さまとの交流を実現していけたらいいなと思います。